2012年4月25日水曜日

this album(YK from wearer 編)

お世話になっております。
センチメンタル日本代表、wearerのYKです。
ここ最近は、燃え尽きるほどヒート、はげあがるほど残業です。

果たして、僕たちが日々振り回されている音楽とやらに、人生を変える力があるかどうかはわかりません。
だけども、音楽におんぶにだっこの僕らの毎日、振り返ればそこにはいくつもの大切な音楽があることだけは、まぎれもない事実でしょう。

此の度、6.16(土)に2マンライヴを催す事となりました、僕らwearerとFURAGO。
そんな僕らのことを少しでも知っていただけたらと、僕らの大切な音楽、特にアルバムについてお話ししていきたいと思います。
今はデータで音楽をやり取りできる時代。
言わば音楽を「パーツ」としてとらえることのできる時代。
このご時世に、「アルバム」っていう単位で音楽を求める人は、果たしてどれくらいいるのかしら。

まずは言い出しっぺのこのわたし、YKの「this album」の話。

僕が音楽というものにいつ興味を持ったのかはっきりとした記憶はないけれど、小学生の頃、テレビから流れてくる音楽や、ファミコンの音楽をラジカセで録音して聴いていたことは覚えている。
「やっぱり猫が好き」の主題歌だった、矢野顕子さんの「David」、すごく好きだったな。
「夢で逢えたら」でかかってたリンドバーグやユニコーンはほんとによく聴いてた。
ファミコンだったら、「MOTHER」の音楽に夢中だった。


自分でラジカセにいろんなBGM録音して、今にして思えば、あれってサントラみたいなもんだよなあ。
テープにおさめた音をイヤフォンで聴くと、まるで自分がその世界の中に入っていけるような気がしていた。 
「はてしない物語」の主人公が、本の中に入っていくみたいにさ。
そうやって作ってた自分だけのコンピレーションみたいなカセットテープが、僕にとっての一番最初のアルバムなのかも知れない。

お金を払って音楽を買うようになったのは中学生になってからだった。
僕が生まれて初めてお金を払って買ったアルバムは、おそらくこれだ。

 

GUYS / CHAGE&ASKA
今聴いても、AORにドーピングかましたような濃密かつ元ネタ不明のオリジナリティ溢れた音に圧倒されます。
僕はブルーハーツでもなく、X JAPANでもなく、もちろんビーイングの数々のアーティストにも見向きもせずに、当時修行のようにチャゲアスばかり聴いていたのだった。

「SAY YES」とか「YAH YAH YAH」みたいな、攻撃力のあるシングル曲はないんだけれど、どれも噛み締めれば噛み締める程味わい深いトラックばかり。特に「no no darlin'」 や「今日は…こんなに元気です」は本当に名曲です。必聴。

あと、ASKAさんがいつも歌詞カードに、歌詞以外の詩作を載せていて。
それが子供心にすごくかっこよかったんだよな。
それをまねっこしてノートに詩のできそこないみたいなもんを書き始めたのが、音楽的な創作の第一歩かも知れない。
いやはや、そこから作曲に踏み入るまでは余裕で10年以上かかりましたけども。

それから、僕がチャゲアスの何に惹かれたかって、やっぱりふたりがものすごくキャッチーで魅力的な存在で、バンド(チャゲアスは二人組の「バンド」なのです。)の成り立ち方そのものに、豊かなストーリーを感じることができたからだと思う。
僕は音楽の難しいことなんか、正直よくわからないから。
僕が誰かミュージシャンのことを好きになるとき、楽曲以上に、それを通じて伝わってくる人となりに惹かれているってことなんだと思う、結局は。

ビートルズやYMO、ブラーやオアシス、スーパーカーだって、僕の中では、みんなそう。すごくストーリーがあって。
僕は音楽が好きだったけど、音楽をちゃんと始めたのは(始めることができているとするなら、ですが)ごく最近だから。
だから、自分が音楽をやれない分、彼らのストーリーをなぞって、日々をやり過ごしていたんだ。きっとね。

僕らも、誰かにストーリーを感じてもらえるような存在になることができたらいいな。
だから嘘がない歌を歌いたいと、今日も強く想うのです。

さて、僕の「this album」の話はここまで。
次は誰が話してくれるのかな。
どうか、wearerとFURAGOに、みなさんが少しでも興味を持ってくださいますように。
どうぞよろしくです。

(YK from wearer)





2012年4月20日金曜日

「無意識の美意識」〜YK、180分独占インタビュー〜



—出会って一年くらいだけど、最近のライブ、良い意味で野性的だよね。
そう?あまり意識してないんだけど、嘘が無いものをやろうとしていたら、 
たぶんそうなったんだ。 
僕はみんなに素の自分を見せたいなと思っているから、普段から。 


ーYKのシャウト増えてるし。 
お客さんとのコミュニケーションをもっととりたくて。 
僕がすかしててもね。気持ち伝わらないし、面白くないでしょ。


—でも、「行くぜ!」じゃなくて「行くよ!」てのがYKらしい(笑)
 無意識なんでね。それが僕なんだろうね。


—今回歌詞を拝読させてもらって、改めてYKのセンチメンタリズムに触れたよ。全曲通して基本的にラブソングだよね。特定の誰かをイメージしてみたいなのはあるの?
良く言われるんだけど、誰かってのは全くない。 
というより、僕が歌う「君」はみんなのことだから。


—博愛・・・
「baby blue」もラブソングじゃないんだよね。 
 ラブソングとしての体裁をもった歌って、 
「失ったもの」とか「大切なもの」を伝えたいときにとてもスムーズだから。


—さらっと言っちゃうのがすごい。 作詞のテーマみたいなものってある?
「至らない自分と届かない気持ち」が永遠のテーマ。 
僕はそういう人間だから。  
きっと死ぬときも「ああしたかったな」って思っちゃう人間。


—根底にあるのは「後悔」だね。
 亡くして完璧なものってあるじゃない?金閣寺とかね。


ー三島由紀夫の『金閣寺』のこと?
そう。あれって主人公が現実と理想のギャップに悩んで、 
最終的に金閣寺を燃やしちゃうっていう。 
現実の金閣寺はなくなるんだけど、 
そのかわり自分の心の中にだけ大切な金閣寺は残るっていう。 
亡くなったものって完璧なんだよ。


—・・・・。作詞するとき大切にしてることってある?


等身大ってことかな。嘘がない自分が一番伝わるから。 
普段は働いてるけど、ロックが好きで、
だから「今夜君の前ではロックンロールスターでいたいんだ」ってことだから、 
僕は。


—YKって歌詞で読んだことはあるけどなかなか口に出せないことサラっと言うよね。
ていうか言葉に出ちゃったものしか歌詞にできないから。 
それが僕のメソッド。


—最近、YK界隈で定着してきてるよ、YKメソッド。
いろんなミュージシャンがいるけど、僕はこれしかできないからね。 
自分にしかできないものは嘘がないもの、
腹の中から出てきたものをみんなに伝える為に 
ブラッシュアップしてくってことだけ。


—さて、wearerの音楽的なアプローチの話を聞かせて欲しいんだけど。俺ら同世代な訳だけど90年代〜00年代をリアルに通ってきたことをまじめに表現してるなと思うんだよね。
10代の頃っていろんな音楽があって、 色々通ったけど、基本はポップミュージックってすごくクールなものなんだよね。UKならオアシスがいてブラーがいて・・・(中略)。で 、90年代が終わる頃にくるりの「ばらの花」とダフトパンクの「One More Time」が出てきて。僕は彼らに「ポップなものってかっこいいだろ」って教えてもらったんだ。あのときの気持ちをずっと持ってやってきたい。


 —話題を戻しますが、wearerのアプローチってシンプルでストレートだよね。
例えるなら、正拳突きを極めるってこと。空手で言えば。


 —ちょっとよくわからない・・・
空手の基本なんですよ、正拳突きは。 基本であり、シンプル。で一番強い。 
テクニックがないぶん、楽曲のシンプルさでしか勝負できないから。 
で、僕は4つ打ちにツインボーカルと心揺さぶるメロディてのが大好きで。 
90年代的なサウンドや世界もとことん好き。 
だから大好きなフォーマットをお腹いっぱいになるまでやりたいんだよね、 
wearerでは。


—YK、草食系の空手男子だったとは・・・そんなYKさんですが、90年代を知らない若い世代にはwearerってバンドがどう映るか気にならない?
確かに気になるよね。 
でも僕は、リアルに90年代を知らないお客さんには  
「あの頃の音楽ってこんなかっこいいんだぜ」ってことは伝えたいと思ってる。 


 —もはや梨園の域・・・さて、YKの歌詞の世界についてだけど、「Survive」はすごく気持ちいい日本語だよね。ウィットも富んでるし何より歌いたくなっちゃう歌なんだよな。苦労した?
  
  いや、基本ひとりで宅録で作った曲なんだけど、
歌のせた時にはときにはもうあんな感じで歌ってた。


 —「疲れ果てた〜」って言ってたの?
 言ってた。歌詞は10分でできたもん。


—無意識に出てきたってやつね。俺もそういうことたまにはあるかな。「東京の夜が廻りだす」は?
これはまず、なんとなくのイメージが先にあって。 
ライブでミラーボールが回ってて、 
ゆるーく踊れる曲あったらいいなってずっと考えてて。 
メロディ作って、リハで歌詞のせようかなて思ったときには 
もうああいう風に歌ってた。それでもうこれでいいじゃんて。


—ただwearerの中で「東京の〜」だけ歌詞がファジーだよね。お客さんおのおの想像してね的な。
「東京」っていうキーワードがとても90年代的なんだよね。 
僕らってほら、東京って響きに「きらびやかで華やかなんだけど少し寂しい」 
みたいなイメージがあるじゃない? 
それを僕らがやったらどうなるのかなって。 
だから頭で「東京」って歌った時点であの曲は完成。 
それだけで良いんだ。だいたい後は無意識に出来上がってた感じ。


—それにしても無意識に作詞できるのスゴい・・・
えいちゃんのこと考えながら歌詞を書いた事もあるけど 
それは一つのスタディケース。 
やっぱり僕の場合は、 
自然体で等身大の自分を表現することだけが強みなんで。 
無意識を大事にしている部分がある。


 —新曲「Rock’n roll star」だけど、ストレートにきたね。
あの曲に関しては、えいちゃんのエモーショナルな部分を出したかったんだ。


—「Rock’n roll star」ってすごい勝負タイトルだと思うんだけど。
勝負したって感じは全くなくて、素直に出てきたものなんだよね。 
歌の中に出てきちゃって、なぜかすごくハマったのでそのまま付けちゃえと。 
オアシスが好きだって部分を素直に抽出した部分もあるけど。


—でも、Aメロのまくしたてる感じが、wearerにしては新鮮じゃない?
これについては内容がどうではなく、 
スタイルとしてことばを詰め込むってことが大事だったんだ。 
「何言ってるかわかんないけど、なんかこいつ言ってるぞ、 
言いたいことがあるんだな」 みたいな雰囲気を伝えたくて。 
内容ではなく 感情表現として。


—新境地だよね。 
そうだね、これからこんな感じも取り入れていきたいなと思ってますよ。



—最後に、6.16初2マンにむけて。
僕は、音楽をやっていく上で1番のご褒美は、 
仲間を得られることだと思ってます。 
去年はFURAGOという最高の仲間に出会えて。 
そのFURAGOと初めての2マンをやることができて、本当にうれしいです。 
場所は僕らが出会った渋谷LUSH。 
どうか、6.16、LUSHですてきな出会いがたくさんありますように。
 僕ら、きっと最高の最高を更新します。
  どうぞよろしくお願いいたします!



聞き手:soosu(FURAGO)