2012年4月20日金曜日

「無意識の美意識」〜YK、180分独占インタビュー〜



—出会って一年くらいだけど、最近のライブ、良い意味で野性的だよね。
そう?あまり意識してないんだけど、嘘が無いものをやろうとしていたら、 
たぶんそうなったんだ。 
僕はみんなに素の自分を見せたいなと思っているから、普段から。 


ーYKのシャウト増えてるし。 
お客さんとのコミュニケーションをもっととりたくて。 
僕がすかしててもね。気持ち伝わらないし、面白くないでしょ。


—でも、「行くぜ!」じゃなくて「行くよ!」てのがYKらしい(笑)
 無意識なんでね。それが僕なんだろうね。


—今回歌詞を拝読させてもらって、改めてYKのセンチメンタリズムに触れたよ。全曲通して基本的にラブソングだよね。特定の誰かをイメージしてみたいなのはあるの?
良く言われるんだけど、誰かってのは全くない。 
というより、僕が歌う「君」はみんなのことだから。


—博愛・・・
「baby blue」もラブソングじゃないんだよね。 
 ラブソングとしての体裁をもった歌って、 
「失ったもの」とか「大切なもの」を伝えたいときにとてもスムーズだから。


—さらっと言っちゃうのがすごい。 作詞のテーマみたいなものってある?
「至らない自分と届かない気持ち」が永遠のテーマ。 
僕はそういう人間だから。  
きっと死ぬときも「ああしたかったな」って思っちゃう人間。


—根底にあるのは「後悔」だね。
 亡くして完璧なものってあるじゃない?金閣寺とかね。


ー三島由紀夫の『金閣寺』のこと?
そう。あれって主人公が現実と理想のギャップに悩んで、 
最終的に金閣寺を燃やしちゃうっていう。 
現実の金閣寺はなくなるんだけど、 
そのかわり自分の心の中にだけ大切な金閣寺は残るっていう。 
亡くなったものって完璧なんだよ。


—・・・・。作詞するとき大切にしてることってある?


等身大ってことかな。嘘がない自分が一番伝わるから。 
普段は働いてるけど、ロックが好きで、
だから「今夜君の前ではロックンロールスターでいたいんだ」ってことだから、 
僕は。


—YKって歌詞で読んだことはあるけどなかなか口に出せないことサラっと言うよね。
ていうか言葉に出ちゃったものしか歌詞にできないから。 
それが僕のメソッド。


—最近、YK界隈で定着してきてるよ、YKメソッド。
いろんなミュージシャンがいるけど、僕はこれしかできないからね。 
自分にしかできないものは嘘がないもの、
腹の中から出てきたものをみんなに伝える為に 
ブラッシュアップしてくってことだけ。


—さて、wearerの音楽的なアプローチの話を聞かせて欲しいんだけど。俺ら同世代な訳だけど90年代〜00年代をリアルに通ってきたことをまじめに表現してるなと思うんだよね。
10代の頃っていろんな音楽があって、 色々通ったけど、基本はポップミュージックってすごくクールなものなんだよね。UKならオアシスがいてブラーがいて・・・(中略)。で 、90年代が終わる頃にくるりの「ばらの花」とダフトパンクの「One More Time」が出てきて。僕は彼らに「ポップなものってかっこいいだろ」って教えてもらったんだ。あのときの気持ちをずっと持ってやってきたい。


 —話題を戻しますが、wearerのアプローチってシンプルでストレートだよね。
例えるなら、正拳突きを極めるってこと。空手で言えば。


 —ちょっとよくわからない・・・
空手の基本なんですよ、正拳突きは。 基本であり、シンプル。で一番強い。 
テクニックがないぶん、楽曲のシンプルさでしか勝負できないから。 
で、僕は4つ打ちにツインボーカルと心揺さぶるメロディてのが大好きで。 
90年代的なサウンドや世界もとことん好き。 
だから大好きなフォーマットをお腹いっぱいになるまでやりたいんだよね、 
wearerでは。


—YK、草食系の空手男子だったとは・・・そんなYKさんですが、90年代を知らない若い世代にはwearerってバンドがどう映るか気にならない?
確かに気になるよね。 
でも僕は、リアルに90年代を知らないお客さんには  
「あの頃の音楽ってこんなかっこいいんだぜ」ってことは伝えたいと思ってる。 


 —もはや梨園の域・・・さて、YKの歌詞の世界についてだけど、「Survive」はすごく気持ちいい日本語だよね。ウィットも富んでるし何より歌いたくなっちゃう歌なんだよな。苦労した?
  
  いや、基本ひとりで宅録で作った曲なんだけど、
歌のせた時にはときにはもうあんな感じで歌ってた。


 —「疲れ果てた〜」って言ってたの?
 言ってた。歌詞は10分でできたもん。


—無意識に出てきたってやつね。俺もそういうことたまにはあるかな。「東京の夜が廻りだす」は?
これはまず、なんとなくのイメージが先にあって。 
ライブでミラーボールが回ってて、 
ゆるーく踊れる曲あったらいいなってずっと考えてて。 
メロディ作って、リハで歌詞のせようかなて思ったときには 
もうああいう風に歌ってた。それでもうこれでいいじゃんて。


—ただwearerの中で「東京の〜」だけ歌詞がファジーだよね。お客さんおのおの想像してね的な。
「東京」っていうキーワードがとても90年代的なんだよね。 
僕らってほら、東京って響きに「きらびやかで華やかなんだけど少し寂しい」 
みたいなイメージがあるじゃない? 
それを僕らがやったらどうなるのかなって。 
だから頭で「東京」って歌った時点であの曲は完成。 
それだけで良いんだ。だいたい後は無意識に出来上がってた感じ。


—それにしても無意識に作詞できるのスゴい・・・
えいちゃんのこと考えながら歌詞を書いた事もあるけど 
それは一つのスタディケース。 
やっぱり僕の場合は、 
自然体で等身大の自分を表現することだけが強みなんで。 
無意識を大事にしている部分がある。


 —新曲「Rock’n roll star」だけど、ストレートにきたね。
あの曲に関しては、えいちゃんのエモーショナルな部分を出したかったんだ。


—「Rock’n roll star」ってすごい勝負タイトルだと思うんだけど。
勝負したって感じは全くなくて、素直に出てきたものなんだよね。 
歌の中に出てきちゃって、なぜかすごくハマったのでそのまま付けちゃえと。 
オアシスが好きだって部分を素直に抽出した部分もあるけど。


—でも、Aメロのまくしたてる感じが、wearerにしては新鮮じゃない?
これについては内容がどうではなく、 
スタイルとしてことばを詰め込むってことが大事だったんだ。 
「何言ってるかわかんないけど、なんかこいつ言ってるぞ、 
言いたいことがあるんだな」 みたいな雰囲気を伝えたくて。 
内容ではなく 感情表現として。


—新境地だよね。 
そうだね、これからこんな感じも取り入れていきたいなと思ってますよ。



—最後に、6.16初2マンにむけて。
僕は、音楽をやっていく上で1番のご褒美は、 
仲間を得られることだと思ってます。 
去年はFURAGOという最高の仲間に出会えて。 
そのFURAGOと初めての2マンをやることができて、本当にうれしいです。 
場所は僕らが出会った渋谷LUSH。 
どうか、6.16、LUSHですてきな出会いがたくさんありますように。
 僕ら、きっと最高の最高を更新します。
  どうぞよろしくお願いいたします!



聞き手:soosu(FURAGO)

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